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清水哲男の薩摩農園コラム - 社長がゆく!!Vol4

社長がゆく連載

殺せなかった鶏」 -Vol.4

「ニワトリとブタに背中を押されてここまできたんや」
鶏舎の前で舟橋は笑った。

隣接する網で囲われた土地では鶏たちが走り回っている。
人が近づいても恐れる様子はない。

「知り合いがニワトリをくれたんや。名古屋コーチンやなかったけど、持って帰って食えって」 名古屋コーチンを飼いはじめたきっかけを話してくれた。

「家に持って帰って食おうと思て箱を開けたら卵を産んどった。卵をもっと産ましてから食おうかなと思ってしばらく飼ってたら、かわいくなって絞められんようになったんや。それでニワトリ飼うたろと思てたら、ちょうど近所に名古屋コーチンで有名な養鶏家がいて、ヒナを2、30羽くれいうてもうてきたんや」

その前にカモを飼ったことがあるという。
卵を孵卵器にかけて孵したカモだった。
舟橋を親とまちがえて追いかける姿はかわいかったが、

「うるさいし卵もうまくなかったのでカモ鍋にして食った」と笑った。

名古屋コーチンはカモとは比較にならないくらいにおとなしく、その上卵のうまさはすぐに評判になった。肉も、もちろんうまい。

たまたま川辺工場に隣接する広大な土地を取得することになった。 舟橋はそこに2棟の鶏舎を建て、「名古屋コーチン 新鮮卵 直売所 薩摩農園」という看板を立てた。

養鶏の知識のある者を雇ったのかとたずねた。
が、舟橋はあっさり言った。

「そんなもん、おらへん。言うたやろ、参考になるもんなんかなんにもあらへん、て。自分の頭で考えてやっとんのやで」

黒豚の放牧も、はじめようとしてはじめたのではなかった。
ある日知人がやってきて、こんなに広い土地があるのなら豚を飼え、と子豚を置いていったというのだ。これが、また、かわいかったという。

豚舎の前で舟橋が手をたたいた。
すると生後3カ月に満たない子ぶたたちが駆け寄ってきた。彼の言うとおり、とてもかわいい。

知人が置いて帰った豚は、すぐに200キロを超える巨体になった。養豚がはじまった。

「なんでだろう、どうして臭いんだろう」

舟橋の養豚は、特有の悪臭を解決することからはじまった。
「臭くない飼い方」の模索が続いた。結果が放牧だった。

実際に豚舎の前に立っても、臭くない。
飼料にもこだわった。鶏と豚のためにサツマイモの畑をつくった。

さらに、
孟宗竹を砕き綿のように挽いて焼酎の搾り滓を混ぜて与えた。
これには焼酎滓の処理と山林で増え続ける孟宗竹対策という環境への配慮も含まれていた。

水も地中深くから汲み上げる地下水を濾過して与えた。 「かわいい」という言葉にすべてが表れている。

たとえ食べるためにいつかは殺してしまうとしても、最高の飼い方をしてやる、最高の環境、状態で育ててやる。それが「いのち」に対する慈しみになる。

舟橋は言外に、そう教えてくれているような気がした。

社長がゆくバックナンバー

第1回
不思議な社長の不思議な会社
第2回
心で聞いたらささやいた
第3回
新曲カラオケのうたい方
第4回
殺せなかった鶏
第5回
売ったらあかん
2007年9月 作家:清水 哲男 - 社長がゆく!! vol.4

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