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清水哲男の薩摩農園コラム - 社長がゆく!!Vol2

社長がゆく連載

心で聞いたらささやいた」 -Vol.2

どうして割れる、なぜ割れる
耳で聞いても答えてくれぬ
心で聞いたらささやいた

三豊機工を世界的金型メーカーにしたのが「ダブル・ヘックス(Double Hex)」という金型製法だ。
それは、従来1万回の圧造が限界だった金型の寿命を、100万回に増大させた。上の3行はその新聞広告を飾った文言だ。

多くの技術者がこの短い文章にうなったという。
ボルト・ナットは丸い素材鋼を金型に入れ、大きな圧力をかけて六角形にする。
強力な圧力とともに、六角形のコーナーに応力が集中する。1万回を超えると応力に耐えきれなくなり、金型は割れた。より耐久性の優れた金型が求められた。

割れないことが求められたのだ。
技術者たちは問題の解決に苦悶していた。

そんなとき舟橋宜孝はひらめいた。
「割れるもんなら、最初から割っときゃあええ」

六角形の型の部分を6枚の台形をあわせてつくった。割型による金型だ。
六角形が二重になっているところからダブル・ヘックスと名付けられた。 割れるものならはじめから割っておく。話を聞いていた私は、逆転の発想だと思った。

だが、舟橋はそれを一蹴した。
「逆転なんかやありゃあせんわ。割れる原因を必死になって考えとったらひらめいたんや」

「ひらめき」が、1万回の寿命を100倍にした。

多くの技術者たちが労力を注いで解決できなかった問題を、かれは一瞬のひらめきで解決してしまったのだ。

「ごちゃごちゃ文献を調べて、ああだこうだ言うても、あかんわな。多分こうだという見当がつけられんようではあかん」 「耳で聞く」とはうわべの議論をくり返すということになるだろうか。だとすれば、「心で聞く」とは、必死になって考えるということになるだろう。

件の広告は、ダブル・ヘックスを売ろうという宣伝ではないと舟橋はくり返し、こう続けた。
「うめき声を上げている技術者には、俺たちの心だとすぐにわかったはずや」と。

それは、業界や技術者に向けての「必死になって考えているか」という問いかけだったのかもしれない。

「あの広告の意味のわからんやつは、自分の技術のていたらくもわかっとらんわな」
舟橋はそう言って笑った。

彼のひらめきは、三豊機工を黒豚、名古屋コーチンへと導いた。

社長がゆくバックナンバー

第1回
不思議な社長の不思議な会社
第2回
心で聞いたらささやいた
第3回
新曲カラオケのうたい方
第4回
殺せなかった鶏
第5回
売ったらあかん
2007年9月 作家:清水 哲男 - 社長がゆく!! vol.2

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